虫を食み虫に食まれて夏がゆく

輪廻とか、回向とか、命が繰り返すということを感じるのがお盆かもしれない。

追善供養。

先祖に手を合わすことが僕は好きだった。

いつから好きになったのか。

それは、祖母の脇で仏壇に向かっている時からだから、ほんの幼少の時分だ。

今年も故郷に帰り墓参したが、祖父の戦死者記念碑の前の雑草を、

いつもきれいに刈ってくれていたおじいさんが亡くなったと聞いた。

その方の家に行き、新盆用に設えられた仏壇で拝ませていただいた。

「時期が時期だったから、人も坊主も呼べず、それだけが心残りだ」

と無念そうに言った、同年代の息子さんの言葉が重くて悲しかった。

戦争で命を散らす者もいれば、病気や事故で生命を落とす者もいる。

いろんな命がいろんな理由で生まれ、死んでいく。

そしてまた「生まれる」を繰り返す。

そんな輪廻の不思議。

長い長い無限の時間の中で、この世にいる時間は一瞬かもしれない。

人間だけでなくあらゆる生命もそれはみんな同じ。

虫を食み虫に食まれて夏がゆく

また一つ夏がゆく。

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