ちょうど日本でコロナウイルス騒ぎの始まった2月の下旬、
僕は新しい挑戦を始めた。
それは「朗読」であった。
正確には、「朗読家になること」であった。
妻にはかねがね小説の「読み聞かせ」をしてきた。
読み聞かせ歴は長い。かれこれ20年近くに及ぶ。
が、今回は、その道のプロとして認められるくらいの実績を持ち、
ゆくゆくは、それがなにがしかの喜びや満足を人や社会に与え、
いくばくかの対価が得られるようになりたいと思った。
こんなご時世だし、明日は「このまま」が維持できるとも限らないからね。
頑張って読む練習をし、いろんな録音方法を試し、試行錯誤の末、一つの音源を完成した。
妻にも「聞き役」「駄目出し役」で何度も協力いただいた。
プライドの高い僕は、愛情故の容赦ない妻の指導に遭って、
しばし陰険になったり、バトルになりそうになったこともある。
1カ月後、「青空朗読」というところに音源を送った。
結果、バツ。
しかし、ご親切にもたくさんの「赤ペン」や「青ペン」「緑ペン」入り添削文書が返ってきた。
赤ペンは読み違い、青ペンはアクセントの相違、緑は雑音だった。
小学校以来の「再練習宣告」だった。
アクセントの矯正が一番難しかった。
これは長年の癖だからね。
そんなこんなで、それから1カ月後の昨日、とうとう僕は一つの夢をかなえた。
青空朗読に載ったのである!
このことはまっ先に石巻のおばあちゃんに報告した。
義姉たちも「すごい!」と喜んでくれた。
何よりも妻は、陰で支え勇気づけてくれた張本人なので、
大層喜び、その表現として「ひゅ~ひゅ~!」って冷やかされっ放しだった。
よろしければ読んでみて、いや、聞いてみてください。