確かにマスクして、つまようじを「ツッツッツッ」は、やりにくいよな。
くわえたままで、マスクしちゃったらコトだよな。
のどに刺さって抜けなくなったりして・・・
昔はいっぱいいたもんだっけ。
昼飯帰りの見慣れた風物詩。
ポケットに片手突っ込んで、つまようじくわえて歩くおじさんサラリーマン。
必ずニヤニヤしていた。
必ず小集団だった。
擦れ違いに、ネギ、にんにくのにおいがプンプンした。
ついでに「おやじ臭」も。
さて、最近それを見なくなったのはなぜか?
そうだ、きっとコロナ禍で集団飲食ができなくなり、
おまけにマスクでつまようじをくわえたまま歩けなくなったからだ。
そう思ったのだが、いや、ちょっと待てよ。
世のおやじたちの昼休みの光景が様変わりしたのは、もっと前からではないか、という疑問が浮かんだ。
あんな光景は、世がまだ平和だった頃の話だ。ちょうど僕らがまだ若い頃に見られたものであって、久しく見ていないような気もしてきた。
窓際族、セクハラ、パワハラ、ダイバーシティ、おやじ狩り。
そうだ、ずいぶん前からすでにおやじは威張れなくなっていた。
街におやじたちのしょぼくれたため息が満ち始めたのはいつからか。
ああ、あわれおやじよ。おやじたちよ。
コロナ禍でつまようじ族見なくなり
そして下の句。
待てよとっくの父ちゃんかもな
かく言う僕も、立派なおやじの仲間入り。
つまようじは、隙間の多くなったすきっ歯の掃除に欠かせない。