田舎に住んでいた時は、朝、よくキジの声に起こされた。
錆びたシャッターを無理やり上げる時のような、かなりやかましい音だった。
今鳴った「ピーピーピー」は、加湿器の「水をくれ~!」の音。
ずいぶん環境が変わったもんだ。
昔はキジの声はもちろん、鶏の声、ケンゾーさんのトラクターの音、ミッツの草刈り機の音もあった。
移動販売車の「豚肉・鶏肉・馬肉・・・」という音もあった。
今はもっとバラエティ―に富んでいる。
インターホン、洗濯機、ガス台、電子レンジ、ケータイ、何でもかんでも音がする。
「ピンポン」「ビービー」「ピコン」「ピーピーピー」
いろんなバリエーションがある。
昔と今、どっちがいいのか分からん。
何であれ、今は注意喚起が音の使命だけど、昔はそうじゃなかった。
ただ、それぞれが、それぞれに、勝手に鳴っていた。
キジも、鶏も、ケンゾーさんも、ミッツも、みんな相手が寝てようが、起きてようが、なーんも関係なかった。
平和っちゃ、平和な時代だったよね。
あ、そっか。移動販売車は注意喚起の音か。