九十を超えて光り輝く。
そんな人たちがいる。
わがサックスの師、ナベサダさんはその筆頭。
身近にもいる。
三吉堂のおばあちゃん九十四。
現役であんこを毎日のように煮ている。
作る和菓子に今もこだわりを持ち続けている。
材料費が上がって損益計算上、製造における「工夫」の必要性を感じていた。
悩んでいた。
その姿を妻はつぶさに見て知っている。
ようやく彼女の霧は晴れた。
名案のヒントは寒天にあった。
昨日、僕にできたばかりの完成品を試食させたときの彼女の顔。
後光が差していた。観音様がいた。
人はいつまでも現役で、頭と心をフル回転させながら生きていれば、ああやって輝いていられる。
いつもお客さまや家族の喜ぶ顔が頭にこびりついている人の特権だ。
何歳になっても「自分の音」を探し求めているナベサダさんも同様。
ああ、あんなふうな九十巨星になりたいものだ。
そうそう、石巻の義母もしかり。
ただただ頭が垂れ下がります。