捨てられない言葉。

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「母はボクの茶碗を一生捨てないと思う」

そういうコピーがあります。

母にとってボクの茶碗は、「息子の思い出」そのものだからです。
人から見れば、使い古されて縁の欠けた瀬戸物でも、母にとってはそのくらい大切な宝ものだからです。

でも、世は「使い捨ての時代」になり、「モノを思い出として大切にする感性」は失われてしまいました。
古くなったものはバンバン捨てて、「なあに、必要なら100均で買えばいいじゃん!」で済ませてしまう時代です。
嘆かわしいことです。

同じように「捨てられない言葉」というものもあります。

「思い出」として心に刻まれた言葉です。
母が息を引き取る時に言った言葉を、ボクは一生忘れられません。
「兄妹仲良く」
それは、あまりにも悲しい言葉でした。
この言葉を思い出す時、ボクはいつも母に申し訳なく思います。
その当時、兄妹の仲が決してよかったとは言えないからです。

そして今も、なかなかそんなふうになっていません。
これはボクの自戒とともに書きました。

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