拷問のような言葉がある。
それは「誰も寝てはならぬ!」である。
そういう名前のオペラの歌もあった。
確かプッチーニのアリア。
この言葉は怖い。
「誰も寝てはならぬ!」なのだから。。。
「太陽がほえろ!」、もとい「太陽はほえる!」、もとい「太陽にほえろ!」の「へそ曲がり署」、もとい「鼻曲がり署」、ああ、もとい「七曲り署」に、「弥次さん」、もとい「喜多さん」、もとい「山さん」というデカがいた。
彼の得意文句を思い出す。
「吐くんだ~!」
である。
そして、そのセリフを吐くとき、必ず犯人の顔に卓上スタンドの白熱球を向ける。
犯人は、貧しそうに、いや、まぶしそうな目で「う、う、う、う、」と言う。
そして山さん。
「さあ、吐くんだ~!」
これもやっぱり拷問ですね。
でも、山さんの優しいのは、耐え切れなくなって吐いてしまった犯人に、店屋もんの「カツ丼」を食わせることだ。
あれが「ニラレバ炒め」とか「チャーハン」であったためしがない。
必ず「カツ丼」だ。
ボクはいつも、あれを見ていて「食いたいなあ」「犯人になりたいなあ・・・」などと、不届きなことを思っていた少年だった。
それはいいとして、もし犯人が吐く前に、カツ丼を食わせていたらどうなっただろうか?
吐く前に、文字通り「吐いた」ことであろう。
だから、あの順番「吐く」→「注文」→「食う」は正解なのだ。
「注文」→「食う」→「吐く」でなくてよかった。
そんなことはいいとして。
拷問言葉がもう一つあった。
それは、「待て!」である。
この言葉は、特に「犬にとって」多大な精神的苦痛を強いる言葉だ。
美味しいものを目の前に置かれ、彼らはよだれをダラダラ流しながら、待つことになる。
ボクはそーゆー犬を何人、いや何犬も知っている。
「ヨシ!」の2文字を待ちわびるワンちゃんに向かって、いじわるな子どもが、こんなことを言う。
「ヨ~~~~~~~~~し子ちゃ!」
フェイントをかけられた犬は、かわいそうに口からよだれがあふれ出ている。
それでも子どもはやめない。
「ヨ~~~~~~~~こらっしょ!」
ああ、これじゃあ人権侵害、いや「愛犬侵害」だ。
犬にとっての「待て!」は、人間にしてみれば「なにも食ってはならぬ」ということだ。
これ以上の拷問言葉があろうか?