家の前が雪山であるところは少ない。
スキー場のロッジとか山荘とかではない。
ごくフツー(いや、フツーとは言えない。ものすごいボロ家だから)の民家の前が雪山なのだ。
わが家のことだ。
そこを毎日、大きなキジがバタバタ走っている。
雪の上をバタバタ走るものだから、バタバタと大きな、あの形の足跡が付く。
そうして彼は、なぜか笹の枯れ枝を食む。
他に食い物がないのか?
いや、そんなはずはない。
だって、まるまると太っているんだもの。
それにしてはお前、太ってやしないか?
え?! 太り過ぎじゃありませんか?
誰かさんみたいに。。。(いえいえ隣の女性のことではありませんよ)
彼を見ていると、こいつを打って食ったらなんぼ美味いかと、空腹時に思ったりする。
そして、「キジも鳴かずば撃たれまい」のことわざが浮かんだりする。
でも、彼は鳴かない。だから撃たれない。
でも仮に鳴いたとしても撃たれることはないだろう。
なぜか?
彼を撃つ者がいないのだ。
この時期、この村には人っ子一人いないのだ。
いや、いるけど見かけないのだ。
ボクらだってヤツを撃つほど暇じゃないし、第一鉄砲ありません。
過疎化が進むムラにあって、彼はいたって平和です。
そして、まるまると美味そうに太っている。