さあ、それは何だろう?
人生で一番多くしゃべってきた言葉。
ボクのバアイはこれだ。
「なに食べる?」
妻のバアイはこうだ。
「なに食べよっか?」
厳密に数えたわけじゃあないけど、今さっきもこういう会話になったし、昨日も、おとといも確かおんなじ言葉をしゃべった気がするのだ。
皆さんはどうですか?
お一人の方は、まさか口に出してしゃべってはいまいが(それも気持ち悪いが)、お胸の中では発しているはずだ。
この「なにを食べるか?」にまつわる言葉は、生命の根源にかかわる大命題ゆえに、今まで古今東西、多くの人によって語られてきたものだ。
ボクは、かつて少年時代にお母ちゃんから、数万回聞いた覚えがある。
昨日見た『名探偵ポワロ』の中でも犯人の妻によって語られていた。
「あなた、なに食べる?」
『トト姉ちゃん』の中でも1週間に1回は必ず語られている言葉だ。
数えたことはないが。。。
そういう最も人間にとって大事な言葉も、時と場合によってはつらい言葉になる。
例えば、それは戦時中の食糧難の時代。
「ねえ、今日なに食べよっか?」
「バカ! イモしかないじゃろが!!」
例えば、戦争中の南海の孤島。
「上官、今日の夕飯はなんでありますか?!」
「きさま! 草でも食っとれ!!」