事務所の仕事の一つに「音声を文字に書き起こす」というものがある。
「テープ起こし」と以前は呼んでいたものだが、媒体の「テープ」自体がもう死語である。
今どき、カセットテープで録音している人もおるまい。
なので「文字起こし」「音声起こし」などと呼ばれる方も増えた。
さて、この仕事には「起こし方」のレベルがある。
「あ~」とか「え~」とか「ケバ」と呼ばれるものを付けて、話したままを起こす「ケバ付き素起こし」というもの。
ケバだけを省いた「ケバ取り素起こし」。
文章をちょっと整えた起こし方「軽く整文」。
しっかり整えた「整文」、これには2つあって「整文ですます調」「整文である調」というのもある。
で、僕が今日述べたいのは「顔の起こし方」である。
以前住んでいた町のスーパーのレジに、「え?! この人、場末のスナックのママちゃう?」といったものすごく化粧の濃い女性がいた。
その方を「ケバ付き素起こし」さん、と僕たちは呼んでいた。
しかし、さすがに上司からは指導を受けたみたいで、いつの間にかあんなに盛っていた「ケバ」が消えた。
彼女は「ケバ取り素起こし」さんになり、一気に精彩をなくし、ただのおばはんに成り下がってしまった。
世の中にはものすごい「整文」系の女性がいる。
「整文ですます調」の優雅な美人さんもいれば、和装がいかにもよく似合う「整文である調」の美人さんもいる。
うちの妻ですか?
そうねえ、「軽く整文」ってとこかなあ。