手紙はいいなあ、と思った。
LINEでもメールでもなく、手紙はいいなあ。
妻のかつてのご学友から来る手紙に癒される。
真面目さを絵に描いたような、原稿用紙のマス目に収まったような文字のTちゃん。
伸びやかな躍動感が薫る、自由奔放に踊るような達筆のMちゃん。
どちらもとってもすてきだなあ、と思う。
妻はいいご学友を持ったなあ。
便箋や絵葉書をコレクションしている妻だが、それもうらやましい。
僕には書く相手がいないのだ。
いなくなって久しいのだ。
SNSのやりとりとは決定的に違う「何か」がそこにはある。
確実にある。僕はそう信じている。
文明は便利さを追い掛けるあまり、それと引き換えに奪ったものがある。
それは人間と人間の心の温もりだ。
手紙を書く時間に存在する相手を思う気持ちだ。
手紙を待つ間のワクワクする高揚感だ。
その間が少し長くなったときに感じる、相手をおもんばかる優しさだ。
そんなものがかつては確実にあって、それが淡く切なくもうれしかった。
ああ、僕のご学友、カムバック ツー ミー!