サックスを始めてこの8月で丸5年になる。
それは秋田市に移住して1年目だった。ヤマハの教室に通った。
が、「やっぱり自分は人に教わるのが性に合わない」という、自分でもよく分かり切っていた感想を抱いてやめた。1年、それでも新人の若い女性の先生に付いてまあ頑張ったほうだった。
それからの4年間は、ひたすら自分の思うようなスタイルで、とにかくサックスを吹くのが楽しい、と思う気持ちを大事に、それだけを考えて「俺流」の道を歩んできた。
吹きたい曲を、吹きたい時に、吹きたいスタイルで。
まあ、そんな感じで自由にやってきた。
そのやり方は自分にはとても合っていたと思う。
それなりに吹ける曲も増えた。
逆にヤマハ時代に教わった曲は、それ以来どう頑張ってもうまくならなかった。どころが下手になっていく。しまいには、あの頃教わった曲を吹きたいとも思わなくなった。
結局、自分は自分に合ったやり方しか受け付けないのだ。
妻が小さい頃から日本舞踊の厳しい先生に付いて習ったようにはいかないのだ。
そんなふうに腹を決めていた。
そんな自分が人の教えを乞うようになるなんて。まったく信じられない。
信じられないのだが、そうなった。
独立記念日の昨日、私はあるサックスの指導者の門をくぐり、入門してしまったのだ。
もっとうまくなりたい!
その気持ちが、この扉を開けさせた。
私のことを私以上に知悉する妻は、嫌になったらいつでもやめたらいいわ。
と、励ましなのか何なのか、とにかく私の取った行動を肯定的には捉えてくれている。
そうだよね、嫌になったらいつでもやめればいいよね。
そう、言葉では言いながら、実は密かに燃えている。
61歳の夏。
私は今、また新しい、とんでもない、人生のステップに立ったようだ。