リレー。

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2つのリレーを紹介します。

 「朝のリレー」

 カムチャッカの若者が
 きりんの夢を見ているとき
 メキシコの娘は
 朝もやの中でバスを待っている
 ニューヨークの少女が
 ほほえみながら寝がえりをうつとき
 ローマの少年は
 柱頭を染める朝陽にウインクする
 この地球では
 いつもどこかで朝がはじまっている

 ぼくらは朝をリレーするのだ
 経度から経度へと
 そうしていわば交代で地球を守る
 眠る前のひととき耳をすますと
 どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
 それはあなたの送った朝を
 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

(谷川俊太郎「谷川俊太郎詩集 続」思潮社 より)

「朝のリレー」

 「命のリレー」

 この一生だけでは 辿り着けないとしても
 命のバトン掴んで 願いを引き継いでゆけ
 ごらん夜空を星の線路が
 ガラスの笛を吹いて 通過信号を出す
 虫も獣も人も魚も
 透明なゴール目指す 次の宇宙へと繋ぐ

 この一生だけでは 辿り着けないとしても
 命のバトン掴んで 願いを引き継いでゆけ
 この一生だけでは 辿り着けないとしても
 命のバトン掴んで 願いを引き継いでゆけ

 僕の命を 僕は見えない
 いつのまに走り始め いつまでを走るのだろう
 星も小石も人も木の葉も
 ひとつだけ運んでいく 次のスタートへ繋ぐ
 この一生だけでは 辿り着けないとしても
 命のバトン掴んで 願いを引き継いでゆけ
 
 (中島みゆき)

PS もうひとつ、ボクが大好きな谷川さんの詩。

「どっか」

ここにいるのあきたよ
どっかいきたいよ
みちにこおりがはっててね
わるものがマフラーしてるところ
わるものはね
ひかるネクタイしめている
でもね すべってころぶこともある
わるものになるには
たかいはしごにのぼれなきゃだめ
えいごもできなきゃだめ
たぶんねこもすこしけっとばす
ぼくはいっぺんわるものになる
そのあとでいいひとになる

(詩:谷川俊太郎)

今のボクもここにいるのあきた人。
どっかいきたいひと。
ねこけっとばすひと。

そしてそのあとでいいひとになるひと。。。

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