生協の宅配をやっている。
いや、やっていると言っても、ボクが大根や牛乳をトラックに詰めて宅配しているのではない。
してもらっているのだ。
いわば「お客さん」「クライアント」「お得意さん」である。
毎週木曜日、お兄さんが来る。
昔なら、
「ちは~、三河屋で~す!」
と言って元気よく前垂れをした兄ちゃんが勝手口からやってきたものだ。
サザエさんよろしく。
今もその辺の風情は変わらない。
「ちは~、生協で~す!」
である。
前垂れはせず、微香性の若者の香水がかおる。
彼は、ある「言葉」を携えてくる。
それは「気を付け言葉」である。
例えばこんなんがある。
ネギを持ちながらの、
「砂、落ちるので気を付けてくださいね~!」
玉ねぎのネットを持ちながらの、
「皮、落ちるので気を付けてくださいね~!」
玉子のパックを持ちながら定番の、
「殻、割れないように気を付けてくださいね~!」
最近のヒットは、
ワイドハイターを持ちながらの、
「臭い移りに、気を付けてくださいね~!」
であった。
ほんとだ、気を付けなきゃ!
と思ったものだ。
そんなわけで、いつも妻とボクは新しい「気を付け言葉」を期待して待っている。
もう少しアイテムが増えたら、『気を付けかるた』なるものの制作に取り掛かりたいと思っている。
こういうものだ。
泥の付いたネギの絵、玉ねぎの絵、ワイドハイターの絵などを描いた札を用意して床に並べておく。
読み手は、「皮、落ちるので気を付けてくださいね~!」などと読むのである。
「皮」と読むのが早いか、「バンッ!」と「玉ねぎ」の絵を描いた札を取る。
そういう遊びだ。
次回が今年最後の配達日だが、果たしてアイテムは出そろうだろうか?