まるめろの匂のそらに。

光原社

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まるめろの匂のそらに
あたらしい星雲を燃せ

盛岡にある、宮沢賢治ゆかりの場所『光原社』の壁にそう書かれています。
これは、詩「原体剣舞連」の中の文章。

「まるめろ」って何だか分かりますか?
こんな果物なんです。

まるめろまるめろ

とてもいい芳香がします。
『罪と罰』(ドストエフスキー)に出てくる「マルメラードフ」の名前は、「マーマレード」に由来し、「マーマレード」は、本来の原料であったこの「まるめろ」に由来しているとか。

実は、この「まるめろ」、秋田県の森吉山方面の特産物で、缶詰にされたりして売られています。
とても高価なもので、買ったことはありませんが、洋梨に近い形状です。

さて、私が「まるめろ」で思い出すのは、7年ほど前に亡くなった祖母のことです。
認知症になってから、おぼつかない記憶の中でいつも思い出して食べたがったのが、この「まるめろ」でした。

当時仙台にいた時分のことですが、財布からお金を渡し、子ども(祖母にとってはひ孫)に向かって、
「まるめろ食いたい。まるめろの缶詰買ってきてけれ」と懇願しておりました。

子どもも困って、私に「まるめろって何?」と聞きましたが、私も当時は何か分からず、
「丸いメロンのことを言ってるのかもしれないね。そんな缶詰ないから、何か桃の缶詰でも代わりに買ってきてやればいい」と、笑って子どもに買いに行かせたことがありました。
認知症の祖母に持っていくと、その時ばかりはキッパリと「これはまるめろでねえ!」と言って、受け付けませんでした。
それはそうですね。
今になれば、似て非なるものであったことを思い知ります。

さて、そんな「まるめろ」の話になったのも、この頃、朝夕めっぽう涼しくなってきたからかもしれません。
もうどことなく秋ですね。

今日は「言葉」とはあまり関係ないことを書きましたが、季節の動きを感じることができるのも、『言葉』のチカラのひとつなのかもしれません。

まるめろの匂のそらに
あたらしい星雲を燃せ

新しい星雲のように、私もまた何か始めまたくなりました。

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