ファスナーが一番目立つ人は誰か?
それは「ウルトラマン」である。
ファスナー〔←slide fastener〕
ハンドバッグ・財布や、衣類などの開口部に取りつけて、開閉するための仕掛け。(中略)〔チャックは日本の、ジッパーはアメリカの商標名〕(第7版)
つまり、ウルトラマンは「仕掛け」が一番目立つ人であった。
でも、仕掛けであるからには、本当はあまり目立ってはいけないはずだった。
その点からすると、今秋田市でやっている「角川大映展」のシンボル「大魔神」などは、かなり巧妙な仕掛けになっていた。どこにファスナーがあるか分からなかった。
悪い奴らの悪行に、ついに怒り心頭に達した大魔神が、腕をぎゅ〜っと上げると、おだやかだった埴輪の顔が恐ろしい青い金剛力士像の顔、運慶作のような顔に激変するあたり、かなりスリルとサスペンスチックな映画でボクは大好きだった。小学校の出張映画会で見たものだ。
そして、血走った目はギョロギョロ動くのだったが、あれはおそらくモノホンの人間の目だったと思う。あの目はちびるほどコワかった。
それにしても、大魔神は一切「ファスナー」を意識させなかった。ボクらの夢を壊さなかった。もしかしたらファスナーなど本当になかったのかもしれない。
そんなわけで、ファスナーが分かるか分からないかは、本物か偽物かを見分ける大きな要素になっていた。少年に夢を見させるか、壊すかのバロメーターだった。
さて、このファスナー。
子どもの頃から、ボクら男子は大変お世話になってきた。
ボクらの社会は、あの窓から見える景色とイコールだった。
ファスナーを通して社会を見、放尿の音を聞きながらやがてボクらは大人になった。
何億回、ボクらはこれを開閉したことだろう。
そのうち数回、酒を飲んだときなどは今でも時々、開閉を誤ってはさんでしまったことがある。痛い痛い思い出。。。
話が随分逸れてしまった。
実を言うとボクは、今日の今日まで、ファスナーというのはYKKの創業者が、たぶん吉田さんという人が作ったものだとばかり思っていた。
でも違った。
今日4月24日は、ファスナーの開発者「ギデオン・サンドバックの誕生日」だ。